名古屋地方裁判所 昭和59年(ワ)3840号 判決 1992年11月27日
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別紙当事者目録記載のとおり
主文
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一 申立て
一 原告に対し、三〇四八号事件被告(以下、単に「被告」ともいう。他の被告らについても同様とする。)中濃窯業株式会社は金二億五〇〇〇万円、被告兵庫窯業株式会社は金一一三八万円、同大丸瓦産業株式会社は一一三八万円、同丹羽靖は一九〇万円、同神谷國茂は金一二六万円、同有限会社北角建設工業は金三二九万円、同岡田實は金七九万円、同有限会社神國製瓦は金一二六万円及び右各金員に対する訴状送達の日の翌日から支払ずみまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え(いずれも内金請求)。
二 別紙一「請求金額一覧表」の番号1ないし16(ただし、番号7は欠番)の被告らは、原告に対し、それぞれ当該被告に対応する同表(4)欄記載の金員及び右各金員に対する訴状送達の日の翌日から支払ずみまで年五分の割合による金員並びに同表(5)欄記載の日から別紙四「第一イ号物件目録」記載の各物件(以下「第一イ号物件」という。)につき別紙六「第一イ号方法目録」記載の方法(以下「第一イ号方法」という。)を用いる使用を中止するまで(ただし、平成三年六月七日を限度とする。)一か月につき当該被告に対応する同表(3)欄記載の金員をそれぞれ支払え。
三 仮執行の宣言。
第二 事案の概要
本件は、原告が被告らに対し、特許権侵害等を理由に損害賠償又は補償金の支払を求めた事案である。
一 争いのない事実等
1 原告の特許権
原告は、次の特許権(以下「本件特許権」といい、その特許発明を「本件発明」という。)の権利者であったが、本件特許権は、平成三年六月七日限り、存続期間の経過により終了した。
発明の名称 単独型ガス燃焼窯による燻し瓦の製造法
出願日 昭和四六年六月八日
出願公開日 昭和四八年一月二九日
出願公告日 昭和五八年四月一九日
登録日 昭和五九年六月二七日
登録番号 第一二一五五〇三号
2 本件発明の構成要件
本件特許権の明細書(以下「本件明細書」という。)に記載された特許請求の範囲(ただし、特許法六四条の規定により出願公告決定後の昭和五八年一二月七日付で補正された後のもの。以下同じ。)は、別紙二「特許公報」(甲一の一。以下「本件公報」という。)及び別紙三「特許法第六四条の規定による補正の掲載」(甲八)の該当欄記載のとおりである。
これは次のように分説することができる(弁論の全趣旨)。
A LPガスを燃焼させるバーナーと、該バーナーにおいて発生するガス焔を窯内に吹き込むバーナー口とを設けた単独型ガス燃焼窯の、
B バーナー口を適時に密封できるようにすると共に、
C 該燃焼窯の煙突口の排気量を適時に最小限に絞り又は全く閉鎖する絞り弁を設け、
D さらに前記LPガスを未燃焼状態で窯内に供給する供給ノズルをバーナー以外に設け、
E 前記単独型ガス燃焼窯の窯内に瓦素地を装てんし、バーナー口及び煙突口を開放してバーナーからLPガス焔を窯内に吹き込み、その酸化焔熱により瓦素地を焼成し、
F 続いてバーナー口及び煙突口を閉じて外気の窯内進入を遮断し、
G 前記のバーナー口以外の供給ノズルから未燃焼のLPガスを窯内に送って充満させ、
H 一〇〇〇℃~九〇〇℃付近の窯温度と焼成瓦素地の触媒的作用により前記の未燃焼LPガスを熱分解し、
I その分解によって単離される炭素を転移(本件明細書に「転位」とあるのは誤記と認める。)した黒鉛を瓦素地表面に沈着すること
J を特徴とする単独型ガス燃焼窯による燻し瓦の製造法。
3 被告らの行為
(一) 被告中濃窯業は、燻し瓦焼成窯の製造業者であり、燻し瓦製造用単独ガス燃焼窯(以下、同被告製造の窯を「本件ガス窯」という。)を業として製造し、これを瓦製造業者に販売している。
(二) 被告中濃窯業及び同神谷を除くその余の被告らは、いずれも瓦製造業者であり、被告中濃窯業の製造に係る本件ガス窯を所有し、これによって燻し瓦を製造しており、あるいは、かつて製造していた。
二 争点についての当事者の主張
1 本件ガス窯の構造如何(争点1)
(一) 原告
(1) 被告中濃窯業を除くその余の被告らの所有している本件ガス窯の基数等は、別紙四記載のとおりである。
(2) 被告中濃窯業は別紙五「第二イ号物件目録」記載一ないし五の構成的特徴を有するガス窯(以下「第二イ号物件」という。)を製造販売していた。
なお、第一イ号物件は第二イ号物件のいずれかに当たるものである。
(二) 被告ら
(1) 被告神谷は本件ガス窯を所有したことはなく、同大丸瓦産業の所有している基数は八であり、また、被告らの所有した本件ガス窯の構造については後記(2)記載のとおりである。その余の事実は認める。
なお、次のとおり付加する。
<1> 被告高木は、平成元年一一月末をもって本件ガス窯を廃棄し、その後は燻し瓦の製造を全くしていない。
<2> 被告井上瓦産業は、昭和五四年二月にNKC-8R四基を設置したが、昭和五八年九月末にすべて廃棄し、昭和五六年一〇月にNKC-8Rを八基設置したが、昭和五八年一二月末にそのうち四基を廃棄し、昭和六二年一二月末に残り四基を廃棄し、いずれも他社製造の窯に入れ替えたので、昭和六三年一月以降は本件ガス窯を全く使用していない。
(2) 別紙五記載一及び五に関する事実を否認し、その余の事実を認める(ただし、右目録のうち「LPガス焔を投入」とある部分及び図面のうちノズルが窯殻の側壁にまで設けられている部分は否認する。ノズルは天井にだけ設けられており、側壁には設けられていない。)。
被告兵庫窯業及び同大丸瓦産業の本件ガス窯の構造は、別紙八の一記載のものと基本的に同じであり、強制燃焼方式である。また、右被告ら及び被告神谷を除くその余の一三一二号事件被告及び一九三九号事件被告の本件ガス窯の構造は、別紙八の二記載のとおりである。
なお、本件ガス窯は、焼成用燃料及び燻化剤として都市ガスを用いても、燻し瓦の製造が可能である。
2 本件特許権抵触の有無(争点2)
(一) 原告
(1) 被告中濃窯業並びに一三一二号事件被告ら及び一九三九号事件被告を除くその余の被告らが第一イ号物件を使用して燻し瓦を製造する方法は別紙七「第二イ号方法目録」記載(以下「第二イ号方法」という。)のとおりであり、第二イ号方法並びに一三一二号事件被告ら及び一九三九号事件被告が第一イ号物件を使用して燻し瓦を製造する方法は、いずれも第一イ号方法のとおりに集約することができる。
(2) 第一イ号方法は、次のとおり本件特許権の技術的範囲に属する。
<1> 構成要件A該当性について
第一イ号物件はいずれも単独型ガス窯であり、焼成に使用するガスはLPガスである。いずれも焼成用バーナーがあり、これによってLPガスを窯内に吹き込むことにより瓦素地を焼成する構造である。
したがって、第一イ号方法は構成要件Aを充足する。
<2> 構成要件B該当性について
第一イ号物件のバーナーにはいずれも蓋があり、密封できるようになっている。
したがって、第一イ号方法は構成要件Bを充足する。
<3> 構成要件C該当性について
第一イ号物件の煙突口には「排ガス調整用具」が取り付けられている。これは本件発明の「絞り弁」に当たるものである。すなわち、弁とは気体や液体の出入調節をする用具の総称であり、「絞り弁」とは、通路の断面を種々に変えることにより、流体の流量を制限する弁である。
第一イ号方法においては、大小二枚の鉄製の蓋と重し(砂あるいは鉄製のおもり)で、二枚とも煙突口から取り外した際は全開となり、大きい蓋のみ取り付けたときは、この蓋の小さな孔からのみ気体が出るので「絞った」状態となっており、更に、この孔に小さな蓋を取り付けて重しをすると密封状態となるので、全開、絞った状態及び密封状態と流量を調整することのできる器具であるから、本件発明の「絞り弁」に当たる。
したがって、第一イ号方法は構成要件Cを充足する。
<4> 構成要件D該当性について
第一イ号物件にはいずれも燻化用未燃焼ガス供給の為のノズルがバーナーとは別に設けられている。
なお、被告小柴、同小林瓦工業、同兼松製瓦工業及び被告瓦熊の使用する窯には、未燃焼LPガスを窯内に送給するノズルとともに、灯油による燻しをするためと称して、そのための配管と気化器が設けられているが、LPガスによる燻化をする場合には、灯油燻しの為の配管と気化器は全く無意味な無駄なものであるから、構成要件該当性を判断するに当たっては無視すべきものである。
したがって、第一イ号方法は構成要件Dを充足する。
<5> 構成要件E該当性について
第一イ号方法は、いずれも窯内に瓦素地を装てんし、LPガスを窯内に吹き込み、その酸化焔熱により瓦素地を焼成している。なお、瓦素地の装てん方法は本件発明とは無関係である。
したがって、第一イ号方法は構成要件Eを充足する。
<6> 構成要件F該当性について
第一イ号方法は、いずれも焼成が終わった後にバーナー口には蓋をして密封する。また、煙突口には、真中に小さな孔の空いた大きな(煙突口に丁度合う)鉄製の蓋を取り付け、外気の侵入を遮断する。本件発明の「煙突口を閉じ」るとは、煙突口を密閉することを意味するのではなく、外気が侵入してくるのを遮断するために外気の侵入に対して閉じることを意味し、煙突口から廃ガス等の窯外への排出は当然予定しているのであるから、蓋の真中に小さな孔が空いていることは、構成要件該当性判断の妨げにはならない。
したがって、第一イ号方法は構成要件Fを充足する。
<7> 構成要件G該当性について
第一イ号方法は、いずれもバーナー以外の供給ノズルにより未燃焼LPガスを窯内に送給している。なお、炭酸ガス又は水蒸気をLPガスに混合して焼成していたとしても、本件発明の構成要件を満たした上で特殊な効果を目的としてするものであるから、利用発明に当たり、本件特許権を侵害することに変わりはない。
また、本件発明の「充満させ」とは、未燃焼ガスを窯内に一杯にするというだけのことであるし、燻化のための未燃焼ガスを窯内に送給している間、煙突口は絞られているものの完全に密閉されているのではないから、煙突口から窯内のガスが排出される。更に、本件発明の「続いて」とは、「次の工程として」との意味であり、焼成工程と燻化工程とが時間的に連続していることを意味しないのであるから、右両工程の間に時間的間隔を置くか否かは無関係である。
したがって、第一イ号方法は構成要件Gを充足する。
<8> 構成要件H該当性について
本件明細書の特許請求の範囲においては、燻化開始温度を「一〇〇〇℃~九〇〇℃付近」と幅のある表現をしているのであるから、被告らの実施している温度がその主張するとおりであるとしても、本件発明の技術的範囲に属するというべきである。
したがって、第一イ号方法は構成要件Hを充足する。
<9> 構成要件I該当性について
燻色の本体をなす炭素がいわゆる無定型炭素か黒鉛かは問題ではなく、この点の論議をすることは無駄なことである。また、「沈着」とは、素地にしっかり付いたり、表面のみでなく瓦の素地の気孔に根を下ろしたごとく炭素が浸透している状態を意味するものであり、第一イ号方法においてもかかる状態になる。
したがって、第一イ号方法は構成要件Iを充足する。
<10> 構成要件J該当性について
第一イ号方法が構成要件Jを充足することは明らかである。
(3) 第二イ号物件は、燻し瓦を第二イ号方法ひいては第一イ号方法によって製造することのみに使用される物であるから、被告中濃窯業は本件特許権を間接侵害している。
また、同被告は、右の事実を熟知しながら第二イ号物件を製造しており、更に瓦製造業者に第二イ号物件を販売するに当たっては、使用方法として燻し瓦を第一イ号方法によって製造するよう指導説明していたのであって、その余の被告らに本件特許権侵害を勧めたのであるから、共同不法行為者にも当たる。
(二) 被告ら
(1) (一)(1)について
<1> 第一イ号方法1について
被告山口瓦並びに一三一二号事件被告ら及び一九三九号事件被告の使用している窯については否認し、その余は認める。
<2> 同2について
被告山口瓦の焼成燃料は灯油である。その余の事実を認める。
<3> 同3について
否認する。
ア 被告山口瓦については、次のようにすべきである。
「バーナータイル部を遮断して、バーナー口を密閉し、煙突口に燻化排ガス調整用具のうち、中央部に開口部の設けられた大きい鉄板製の蓋を取り付け、右鉄板製の蓋の開口部は開けたままにして、約二ないし五時間放置した後」
イ 被告山口瓦以外の被告らについては、次のようにすべきである。
「バーナーを退けて、バーナー口に蓋をして密閉し、煙突口に燻化排ガス調整用具のうち、中央部に開口部の設けられた大きい鉄板製の蓋を取り付け、右鉄板製の蓋の開口部は開けたままにして、約二ないし五時間放置した後」
ウ 被告兵庫窯業及び同大丸瓦産業については、次のようにすべきである。
「バーナータイル部を遮断して、バーナー口を密閉し、煙突口に燻化排ガス調整用具のうち、中央部に開口部の設けられた大きい鉄板製の蓋を取り付け、右鉄板製の蓋の開口部は開けたままにして、約二ないし一三時間放置した後」
エ 被告兵庫窯業、同大丸瓦産業及び同神谷を除くその余の一三一二号事件被告及び一九三九号事件被告については、次のようにすべきである。
「バーナーを退けて、バーナー口に蓋をして密閉し、煙突口に燻化排ガス調整用具のうち、中央部に開口部の設けられた大きい鉄板製の蓋を取り付け、右鉄板製の蓋の開口部は開けたままにして、約二ないし一三時間放置した後」
<4> 同4について
ア 被告小柴、同山口瓦、同小林瓦工業、同兼松製瓦工業及び同瓦熊については否認する。被告小柴及び同山口瓦は、LPガスによる燻しはしておらず、灯油を気化器で気化して窯内に送給し、燻化している。被告小林瓦工業は昭和五二年以降、同兼松製瓦工業は昭和五七年以降、同瓦熊は昭和五〇年以降、同高坂及び同丸治製瓦は昭和六一年一月以降それぞれ灯油によって燻化をしており、LPガスによる燻化は行っていない。
イ 被告神谷を除くその余の一三一二号事件被告ら及び一九三九号事件被告については、次のようにすべきである。
「ノズルから、未燃焼のLPガスと炭酸ガスを混合した気体を窯内に送給し」
ウ その余の被告らについては認める。
<5> 同5について
否認する。燻化開始温度は八九〇℃ないし八六〇℃である。個々の被告らの燻化温度は、別紙九「燻化温度等一覧表」記載のとおりである。なお、窯内の温度は、窯内の上段と下段の二箇所において測定しているので、同表にはこれを別々に示してある。
<6> 同6及び7について
ア 被告小柴、同山口瓦、同小林瓦工業、同兼松製瓦工業及び同瓦熊は、いずれも燻化についてLPガスを使用していない。
イ 被告高坂及び同丸治製瓦は、昭和六一年一月以降は灯油による燻化を行っている。
ウ その余については、次のようにすべきである。
「燻化ガスの窯内送給を止めて、約一ないし三時間はそのままの状態で放置した後、前記の大きい鉄板製の蓋の開口部に、更に小さい鉄製の蓋を取り付け、また、重し又は砂で煙突口を完全に密閉し、瓦を燻化させる燻し瓦の製造法。」
(2) (一)(2)について
<1> 構成要件A該当性について
ア 被告山口瓦、同兵庫窯業及び同大丸瓦産業は、窯殻とバーナーが一体となったガス窯を用いており、また、被告山口瓦は、LPガスではなく灯油による焼成を行っている。
イ 被告山口瓦、同丸治製瓦、同兵庫窯業及び同大丸瓦産業においては、コーナージェット方式による「強制送風方式」をとっており、焼成方法も、窯隅から燃焼焔を直接照射させて焼成する方法である。
これに対し、本件発明に用いる窯は、バーナーとバーナー口とを引き離しておき、その間隙から外気(二次空気)を取り込んで燃焼させる方式であり(本件公報3欄一行、一四行)、また、焼成方法も、バーナー口周縁の外気を窯内の吸引効果により自然に取り込んで燃焼し、燃焼焔は、一旦は天井に向かって自然に上昇させた後、次には煙道に向かって下方へ引かれて行くようになっている「倒焔型焼成方式」であり、このような構造の窯は「倒焔式炉」と呼ばれている(本件公報3欄五行)。
ウ その余の事実は認める。
<2> 構成要件B該当性について
認める。
<3> 構成要件C該当性について
否認する。第一イ号方法においては、「絞り弁」は使用していない。また、鉄板と鉄製蓋からなる「排ガス調整用具」と砂や重しを併せ用いている。更に、「排ガス調整用具」は、煙突口に取り付けられているのではなく、窯と構造的に一体をなさない補助具である。
<4> 構成要件D該当性について
被告小柴、同山口瓦、同小林瓦工業、同兼松瓦工業及び同瓦熊は、いずれもLPガス燻化用のノズルは使用していない。その余の事実を認める。
<5> 構成要件E該当性について
ア 被告山口瓦はLPガスによる焼成はしていない。
イ 被告らの実施方法が「窯内に瓦素地を装てんし」及び「煙突口を開放して」との要件に当たることを否認し、その余の事実を認める。
本件発明における窯内に瓦素地を装てんするやり方(窯積みの方法)は、窯内に人が入って窯床の上に瓦素地を積み上げていくやり方で、従来方法(公知技術)によることを前提としている。これに対し、被告らの場合は、瓦焼成用治具(コンテナー)を用いて窯積みを行うのであるから、本件発明とは窯内に瓦素地を装てんする方法を異にしている。また、本件発明は、焼成の際にも、煙突口には「絞り弁」が被せられた状態で焼成が行われるものと解される(本件公報3欄八ないし一五行参照)。これに対し、被告らの方法は、煙突口(一辺が約三五センチメートルの正方形)を全面開放したまま焼成を行うのである。
<6> 構成要件F該当性について
否認する。被告らの方法は、バーナー口は閉じるが、煙突口を閉じて外気の窯内侵入を遮断するということはしない。煙突口に取り付けられた燻化排ガス調整用具のうち、中央部に設けられた大きな鉄板製の蓋の開口部を開けたままにして、そこから外気の侵入の促進を図るものである。
<7> 構成要件G該当性について
否認する。
ア 被告小柴、同山口瓦、同小林瓦工業、同兼松製瓦工業及び同瓦熊は、いずれもLPガスによる燻しはしていない。
イ その余の被告は、未燃焼LPガスを炭酸ガスで希釈したものをノズルから窯内に送給して燻化している。本件発明は、LPガスを全く希釈せず一〇〇パーセントの濃度のまま燻化ガスとして用いるものであり、第一イ号方法とは異なる。
ウ 本件発明においては、「煙突口を閉じて」具体的には「絞り弁を充分に絞って」(本件公報3欄一八ないし一九行)、生ガスを供給するのであり、その間、「遊離水素と生ガスの混合物の極く一部が煙突口の絞り弁から外部に逃失する。」(本件公報3欄二八ないし二九行)というのであるから、窯内に送給した生ガスのうち外部に排出される量は極めて僅かである。したがって、LPガスの窯外への排出がないので、窯内に送給された生ガスは、内部に充満するだけで、窯内でのガスの流れは生じようがない。
これに対し、第一イ号方法においては、煙突口に蓋を被せるものの、蓋の中央部には口径四ないし八センチメートルの円形の開口部が設けられており、ここから燻化排ガス等を窯外へ大量に排出させており、これによって窯内の燻化ガスの流れを生じさせているのであって、窯内が未燃焼LPガスで「充満する」ということはない。
エ 本件発明は、焼成工程終了後直ちに引き続いて燻化工程に入る方法である(本件公報添付図面参照)が、第一イ号方法では、焼成工程後燻化開始までに約二ないし五時間の待ち時間(冷却時間)を置いている。
<8> 構成要件H該当性について
否認する。本件発明の燻化温度は、燻化開始から終了までの燻化工程中、窯内温度が終始一〇〇〇℃ないし九〇〇℃付近に維持されていることを要する。これに対し、第一イ号方法においては、燻化開始温度は八九〇℃ないし七九〇℃であり、以後徐々に低下して、燻化終了時の窯内温度は八六五℃ないし七四〇℃に下がる。
なお、被告小柴、同山口瓦、同小林瓦工業、同兼松製瓦工業及び同瓦熊は、いずれもLPガスによる燻しはしていない。
<9> 構成要件I該当性について
否認する。第一イ号方法においては、黒鉛は生成されない。生成されるのはカーボンブラックである。また、第一イ号方法では「沈着」はしていない。
<10> 構成要件J該当性について
認める。
(3) (一)(3)について
否認する。第二イ号物件は、他の用途にも利用可能なものであり、現に菊鉢、タイル、土管、陶器瓦等の焼成にも用いられている。
3 特許無効原因の有無(争点3)
(一) 被告ら
本件発明は、出願前の既刊刊行物の記載及び公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法二九条二項の規定に違反して特許されたものである。
(二) 原告
否認する。
4 損害金・補償金請求額(争点4)
(一)原告
(1) 被告中濃窯業関係
<1> 警告
原告は、被告中濃窯業に対し、出願公開後である昭和四八年七月九日頃到達の書面で、本件発明の内容を記載して、本件発明を実施しないよう警告した。
<2> 補償金請求額
被告中濃窯業は、右警告後である昭和四九年一月一日から昭和五八年四月一八日までの間に、第二イ号物件を別紙一〇「補償金・損害金一覧表」の(2)欄記載のとおり合計一一二四基を製造販売した。
右の分に対する補償金額は、別紙一〇の(3)欄記載のとおり五八億七五三七万二八〇〇円を下らないか、少なくとも(4)欄記載のとおり一一億八〇二〇万円を下らない(原告主張額は違算であると認める。)。
本訴においては右の内金五〇〇〇万円を請求する。
<3> 損害金請求額
被告中濃窯業は、昭和五八年四月一九日以降、第二イ号物件を別紙一〇の(2)欄記載のとおり合計三九七基製造販売した。
これによって原告が被った損害額は、別紙一〇の(5)欄記載のとおり二〇億七五一九万八四〇〇円を下らないか、少なくとも(6)欄記載のとおり四億一六八五万円を下らない。
本訴においては右の内金二億円を請求する。
(2) その余の被告ら関係
別紙一の番号1ないし16(ただし、番号7は欠番)の被告らは出願公告日の翌日である昭和五八年四月二〇日以降、番号17ないし22の被告らは同年六月八日以降、同23の被告は平成元年一〇月二三日以降、それぞれ第一イ号物件を使用して、毎月同(2)欄記載の価額に相当する燻し瓦を製造販売しているので、本件特許権の実施料率である五パーセントに相当する金額はそれぞれ同(3)欄記載のとおりとなる。
そこで、原告は本訴において、右被告らに対し、同(4)欄記載の金員(ただし、番号17ないし23の被告らについてはその内金)及び遅延損害金並びに同(5)欄記載の日から第一イ号物件につきイ号方法を用いる使用を中止するまで(ただし、平成三年六月七日を限度とする。)一か月につき当該被告に対応する同(3)欄記載の金員の支払を請求する。
(二) 被告ら
争う。
第三 判断
一 争点2(本件特許権抵触の有無)について
1 被告中濃窯業が第二イ号物件のうち別紙五記載二ないし四の構成的特徴を有するガス窯を製造販売していること(ただし、同目録のうち「LPガス焔を投入」とある部分及び図面のうちノズルが窯殻の側壁にまで設けられている部分については、争いがある。)は、当事者間に争いがなく、同被告が右のほか同目録記載一及び五の構成的特徴を有するガス窯をも製造販売しているか否かについては、当事者間に争いがあるが、右争いのある点についての事実認定は暫く措き、まず、原告主張の事実を前提として、第一及び第二イ号物件を使用して燻し瓦を製造する方法が本件発明の技術的範囲に属するか否かについて検討することとする。
2 被告らは、第一及び第二イ号方法並びにその構成要件該当性を種々争っているが、まず、右各方法のうち燻化温度が何度であるかとの点及び構成要件H該当性について検討する。
(一) 証拠(甲二、四二、四三、乙五二ないし六五、乙六六の一、二、乙六七ないし六九、乙七〇の一、二、乙七一、七三ないし七六、乙八二の一ないし三、乙八三ないし一一九、証人興津計介、同中村渡、同荒川憲、同森田清勝)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められ、右認定に反する証拠(甲三〇、四一)は、右の証拠に照して信用することができず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。
(1)<1> 被告神國製瓦は平成元年一〇月二三日に設立されて瓦の製造販売をしているが、同被告設立前には、被告神谷が被告神國製瓦の現在使用している本件ガス窯を使用して瓦の製造販売をしていた。
<2> 被告中濃窯業を除くその余の被告らが現在使用しており、あるいは、前に使用していた本件ガス窯において、燻化方法として、LPガスではなく、灯油を使用していたか、あるいは、現在灯油を使用しているものもあるが、いずれにおいても、焼成時の最高温度は九〇〇℃台の一〇〇〇℃に近い温度から一一五〇℃付近の温度までであるが、焼成終了後、数時間の冷却時間を置いてから燻化を開始し、燻化を開始すると窯内の温度は徐々に低下していくものであるところ、燻化開始時及び燻化終了時の各窯温度は、ほぼ別紙九「燻化温度一覧表」記載のとおり(ただし、被告丹羽靖については、燻化開始時の温度は上段が八七〇℃、下段が八八〇℃、燻化終了時の温度は上段が八二〇℃、下段が八一〇℃)である。
<3> 右被告らが燻化温度を右のように設定しているのは、燻化温度を右温度よりも高くすると、炭素被膜が瓦素地から剥離してしまうことがあり、高品質の製品が得られないとの認識を有しているためである。
<4> 同じ会社の製造した窯でも、個々の窯には癖があるため、焼成時の最高温度及び冷却時間並びに適正な燻化温度は、窯によってばらつきがある。
<5> 右被告らは各自温度管理をかなり厳格に行っており、右の燻化開始の最高温度を五℃以上も上回った温度で燻化を開始することは考えられない。
(2)<1> 有限会社中村製瓦は、原告から焼成燻化単独窯を購入して瓦の製造を行っているところ、同社の場合には、通常、焼成時の最高温度は一一六〇℃位であり、焼成終了後、冷却時間を置いてから燻化を開始するが、燻化開始温度は九三〇℃から九一〇℃位であり、燻化終了時の温度は八八〇℃から八五〇℃位である。
<2> 同社の社長中村渡は、あまり高い温度で燻化すると、メクレという現象が生ずるので、燻化開始の許容最高温度は九三〇℃位であると認識して、温度管理を厳格に行っており、右許容最高温度を五℃以上も上回った温度で燻化を開始することは考えられない状況である。
以上の事実が認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。右の事実によれば、燻化温度は、燻し瓦の製品の品質を決定する重要な要素であるが、窯によって差があるため、瓦製造業者は、それぞれ自己の窯における適正な燻化温度を把握して、その温度の管理に意を用いているのであるから、各自が燻化を開始している最高温度を五℃以上も上回った温度で燻化を開始することは考えられないというべきである。
(二) ところで、構成要件Hは燻化温度を「一〇〇〇℃~九〇〇℃付近」としており、燻化開始温度と燻化終了温度とを区別して記載してはいないところ、前認定の事実によれば、燻化開始時の窯内の温度よりも燻化終了時の窯内の温度の方がかなり低下するものであること、本件発明の明細書の「発明の詳細な説明」には、実施例の説明において、約一二時間かけて窯温一〇〇〇℃付近に上昇させて瓦素地のあぶりと焼締焼成を完了した上、窯内に生ガスを約一時間半にわたって供給し、一〇〇〇℃~九〇〇℃付近の窯温と焼成瓦素地の触媒的作用とによってLPガスの主成分たる炭化水素の熱分解が進行する旨を記載し(本件公報3欄一五ないし二六行)、また、その添付図面には生ガス供給開始時の窯温を一〇〇〇℃付近、供給終了時のそれを九五〇℃付近として図示し、供給開始時から供給終了時までに約五〇℃低下するものとしていることに照らすと、右構成要件は、窯内の温度が一〇〇〇℃付近で燻化を開始し、九〇〇℃付近で燻化を終了することを意味するもの、すなわち、燻化開始時から終了時までの窯内の温度が一〇〇〇℃ないし九〇〇℃付近の範囲内にあることを意味するものと解する余地がないではなく、右のように解すべきものとすると、被告らの実施しており、あるいは、実施していた方法が構成要件Hを充足しないことは明らかである。また、仮に、右構成要件が、燻化開始時から終了時までの間に、一時的にもせよ、窯内温度が右の範囲内にあれば足りると解すべきものとした場合には、本件明細書の「特許請求の範囲」の記載をみても、右の「付近」がどの程度の範囲のものを意味すると解すべきかを判断するに足りる記載はないし、また、「発明の詳細な説明」の記載をみても同様であるが、右構成要件自体において既に一〇〇℃の幅を設けている上、既に述べたとおり、燻化温度は燻し瓦の製品の品質を決定する重要な要素であって、瓦製造業者が燻化を開始している最高温度を五℃以上も上回る温度で燻化を開始することは考えられないのであるから、右構成要件にいう「付近」の意味について、原告の主張するように大きい幅をもつものと解することはできず、前認定の被告らの燻化温度は、右構成要件の範囲には含まれないと解するのが相当である。
したがって、いずれにせよ、被告らの実施しており、あるいは、実施していた方法が、本件発明の技術的範囲に属するものということはできない。
二 以上のとおりであるから、被告中濃窯業を除くその余の被告らの行う燻し瓦の製造方法が本件発明の技術的範囲に属するものであると認めることはできず、また、本件ガス窯が本件発明の実施にのみ使用する物であると認めることもできないので、その余の点について判断するまでもなく、原告の本訴請求はいずれも理由がない。
(裁判長裁判官 瀬戸正義 裁判官 後藤博 裁判官 入江猛)
当事者目録
名古屋市中村区那古野一丁目三九番一二号
全事件原告 ニイミ産業株式会社
右代表者代表取締役 新美治男
右訴訟代理人弁護士 小川剛
同 村橋泰志
同 太田耕治
同 渡辺一平
(一三一二号、一九三九号事件を除く事件につき)
同 瀧澤昌雄
同 尾関孝英
岐阜県本巣郡本巣町一九二三番地の二
1 三八四〇号事件被告 高坂甚吉
愛知県安城市小川町志茂二三番地
2 同 横山武一
三重県四日市市曽井町九二二番地の一
3 同 小柴三郎
津市一身田大古曽八二九番地
4 同 水谷芳雄
兵庫県三原郡南淡町阿萬東町四九四番地
5 同 山口瓦株式会社
右代表者代表取締役 山口康一
岐阜県不破郡垂井町表佐八七一番地
6 九七四号事件被告 丸治製瓦株式会社
右代表者代表取締役 多和田治市
同県美濃加茂市本郷町九丁目一八番三七号
7 三〇四八号事件被告 中濃窯業株式会社
右代表者代表取締役 板津孝治
群馬県甘楽郡甘楽町大字福島一四五七番地
8 三〇五〇号事件被告 小林瓦工業株式会社
右代表者代表取締役 小林進
岐阜県加茂郡坂祝町黒岩一三八七番地の九
9 同事件被告 株式会社兼松製瓦工業
右代表者代表取締役 兼松智久
岐阜市長良三三〇七番地
高木製瓦こと
10 同事件被告高木一男
愛知県高浜市高浜町松本四二番地
11 同事件被告 合資会社唄善瓦工業所
右代表者無限責任社員 神谷正之
京都府向日市寺戸町殿長一六番地
12 同事件被告 株式会社瓦熊
右代表者代表取締役 石井準一郎
兵庫県三原郡西淡町松帆櫟田二〇六番地の一二
13 同事件被告 兵庫瓦産業株式会社
右代表者代表取締役 島田勇
同県同郡同町松帆古津路六一九番地
14 同事件被告 井上瓦産業株式会社
右代表者代表取締役 井上義昭
愛媛県越智郡菊間町佐方三九番地
15 同事件被告 オチ新瓦産業株式会社
右代表者代表取締役 越智告
三重県鈴鹿市野町九九番地
杉野八蔵商店こと
16 同事件被告 杉野敏武
兵庫県三原郡西淡町松帆古津路八六八番地
17 一三一二号事件被告 兵庫窯業株式会社
右代表者代表取締役 濱口萬米
同県同郡同町津井一八九〇番地の一
18 同事件被告 大丸瓦産業株式会社
右代表者代表取締役 山下済
岐阜県加茂郡坂祝町深萱二四〇番地
丹羽製瓦こと
19 同事件被告 丹羽靖
愛知県高浜市田戸町五丁目一番地二三
神国製瓦所こと
20 同事件被告 神谷國茂
三重県久居市新町一一〇〇番地の二
21 同事件被告 有限会社北角建設工業
右代表者代表取締役 北角利男
愛知県渥美郡田原町大字野田字弥蔵一七番地
岡田瓦店こと
22 同事件被告 岡田實
同県高浜市田戸町七丁目六番地一四
23 一九三九号事件被告 有限会社神國製瓦
右代表者代表取締役 神谷國茂
右被告二三名訴訟代理人弁護士
梨本克也
別紙一 請求金額一覧表
<省略>
別紙二 日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告
<12>特許公報(B2) 昭58-19623
<51>Int.Cl.3C 04 B 33/32 F 27 B 3/00 E 04 D 1/00 識別記号 庁内整理番号 7351-4G 7821-4K 7238-2E <24><44>公告 昭和58年(1983)4月19日
発明の数 1
<54>ガス窯によるし瓦の製造法
審判 昭50-10304
<21>特願 昭46-40330
<22>出願 昭46(1971)6月8日
<65>公開 昭48-7009
<43>昭48(1973)1月29日
<72>発明者 新美治男
名古屋市守山区小城下31の1
<71>出願人 ニイミ産業株式会社
名古屋市中村区那古野一丁目39番12号
<74>代理人 弁理士 園部祐夫
<56>引用文献
特許 25273(JP、C1)
倒焔式加熱窯の理論と実際 寺田清 昭31.
5.5 第141~149頁 日本印刷出版開発行
窯業協会誌 昭38.10 第44~47頁
<57>特許請求の範囲
1 LPガス等のガス燃料を使用する焼成窯により瓦素地をガス燃料の燃焼による酸化焔熱により焼成したのち、バーナー口その他の窯の開口部を密閉して外気侵入遮断の処置を施し、窯内に前記と同じガス燃料をバーナー以外の供給口から燃焼させることなく送給して充満させ、1000℃~900℃付近の窯温度と焼成瓦素地の触煤的作用により前記の未燃焼生ガスを熱分解し、その分解によつてされる炭化水素中の炭素を位した黒鉛を瓦素地表面に着することを特故とするし瓦の製造。
発明の詳細な説明
この発明は、LPガス等のガス燃料を使用するガス焼成窯によつて瓦の締焼とし着色とを、供給ガスの燃焼と非燃焼とにより一頁的にすし瓦の製造に関する。
煙し瓦は従来だる1窯によつて瓦素地を焼成したのち、松素は松薪材等のし材料を供給してから焚口に耐火栓を施し、これを粘土でりかためて、焼成された焼成瓦生地表面に黒鉛、炭素を着して着色する製造注が一般的に行なわれている。熱るに前記の従来法は多くの場合一個の焚口に固形燃料及びし材料を供給するものであり、窯内の火焔りについても窯自体に個性があるから、就練技術者が焼め及び焼蒸着色の操作を施しても一級品の製造得率が不良であるばかりでなく、製造操作が極くわずらわしい。その上、近時は松、松薪材等の固形し材料が不足し、従つて価格も上昇しているので、し着色のコストが高くなつている。その他、製瓦窯の瓦台上に納めた瓦素地を焚口のロストル上で燃焼する固形燃料の火熱により加熱して焼を結し、そのあとで焚口に固形可燃物を突込んで空気口を閉じ、ついでその可燃物から発生したガスが窯内に充満した頃を見計つて煙突を閉じ、その後に前記の窯に設けた流し込み道からコールタールを窯底に流し込んで焼瓦に色をつける瓦の焼成方法が知られているが、この公知方法では、瓦生地の締焼までは固形燃料を使用し、瓦の色付けのみにコールタールを使用するものであるから、瓦焼きの操作が複雑になつて、その実施は必ずしも容易でない。
本発明は瓦生地の素焼焼成及び瓦に特有なし色の着色を、LPガス等のガス燃料を使用する焼成窯によつて、ガス供給については一頁的に施して従来の前記の如きし瓦の製造法を改新することを目的としたものであつて、特にし瓦に特有な着色については、焼に至るまでに使用する加然用燃焼ガスと同じガスを未燃焼の状態で窯内に送り込んでその生ガスの熱分解により生ずる蒸沿、炭素の着によつて施すことを特としたものである。
本発明の実施様の一例を説明するにこの方法を使用するガス焼成窯は燃料にLPガスを使用し、バーナー口にませた前記ガスのバーナーをガス焼成窯の外方への退避移動可能に設け、その移動のあとで、バーナー口を完全に密封できるようにすると共に、前記バーナー口を封鎖することによつて、炉内に外気が侵入し得ないように構成した例焔式炉とし、その炉体に前記したLPガスを未燃焼の生ガス状態で、コツクの開放によつて窯内に送給できる供給ノズルを、バーナーへのガス燃料送給から分岐して設ける。また煙突口には較り弁を設けて適時に排気量を最小限に較り又は全く閉し得るようにする。本発明は前記構成の焼成窯内に、成形乾燥した瓦素地を装てんし、一次空気を混合したLPガスを、開放されたバーナー口にませたバーナーに送つて燃焼し、その燃焼焔の周部から二次空気を接触して完全燃焼を行わせ、約12時間をかけて窯温1000℃付近に昇温し、以上によつて瓦素地のあぶりと焼焼成を完了する。いてバーナーをけてバーナー口を完全に密封すると同時に煙突口の較り弁を充分に較り、窯内には供給ノズルから生ガスを約1時間30分にわたつて供給する。その供給頭初は窯内室に在する酸素の接触によつてわずかに燃焼酸化するが、それが終ると同時に窯内に生ガスが充満し、1000℃~900℃付近の窯温と焼成瓦素地の触媒的作用とによつてLPガスの主成分たるC3H4・C3H4・C4H0・C4H4等の炭化水素の熱分解が進行し、それによつて単する炭素及びその炭素の転位により結晶化した黒鉛が瓦素地表面に着し、水素と生ガスの混合物のく一部が煙突口の較り弁から外部に遺失する。前記生ガスの供給量は窯容積5m3に対し口径1.7%の供給ノズル4本から300~500%水柱圧で1時間30分を行うを以て充分である。
以上の如く生ガス供給を終つたのちは、煙突口の較り弁をも完全に閉じ、自然冷却しくは水冷却によつて窯温を下げる。
添付図面は前記の窯温温度と、ガス燃焼、生ガス供給、冷却の各時間ブログラムを示したものてある。
本発明は前記した実施例の説明により明らかにしうに、LPガス等のガス燃料を使用する焼により、瓦素地を前記ガス燃料の燃焼による酸化焔熱により焼成したのち、バーナー口その他の窯の開口部を密閉して外気侵入遮断の処置を施し、窯内に前記と同じガス燃料を燃焼させることなく送給して充満させ、1000℃~900℃付近の窯温度と焼成瓦素地の触媒的作用により前記未燃焼生ガスを熱分解し、その分解によつて単される炭化水素中の炭素を転位した黒鉛を瓦素地表面に着する操作を行うものであつて、同じガス燃料の窯内への燃焼供給と、未燃焼の生ガス供給とを使い分けて行い、燃焼供給により瓦素地の酸化焼成を施したあと、窯体の密閉処置を施してから生ガス供給に切換えるだけの操作で一頁的にし瓦製造を行い得るため、作業性はしく簡易となつて、し色の着色のため従来公知な松素などの煙焼、若しくはコールタールのし込み煙焼などのわずらるしい操作が全く不用となる。また、し工程における生ガスは松素、松薪材、コールタールの如く、焚口、窯などでし乾溜して煙を立上がらせ、窯内に充満させるものではなく、ガス形であり、窯天井などから降りそそぐことが自由にできるから、窯内への充満に部分的なを生じさせないでし着色効果を均一にできるものであつて、焼め温度の均一性と相俟つて一等品の得を優良にできるのみでなく、未燃焼ガスの着色効果を、固形し材料を乾溜して使用する場合に比してく高化し、焼め燃料コスト及びし着色燃料コストを共に低下し得る。なお、LPガス等のガス燃料の生ガス供給により、窯内で炭化水素の熱分解が進んで単離される炭素、並にその炭素から転位した黒鉛の表面着によつて生じたし瓦の着色は、在来の既述した煙し色の着色に比して少しも色がなく、ガス燃料の使用にも浪費を伴うおそれが全くなく、燃料効果、着色効果への使い分けによるし瓦の製造をしく省力化できる。
煙し瓦の製造は産地により焼成温度、締焼燃料が異なり、その上一窯の瓦素地の結込故も一定ではないので正確な比較は困ではあるが、ガス燃料による締焼き及びし着色を一頁的に施す本発明方法は、締焼きに固形燃料又は油を使用しし着色に松薪材(又は松素)を使用する従来法、こ比して、製造操作の簡易性を除いても、次表に示すように燃料コストを着できる。
<省略>
一窯の結込較 締焼温度 使用燃料締焼 燻し 一枚当りの燃料コスト締焼 燻し 合計
本発明方法 第一例 (枚)1.000 (℃)1.050 LPガス LPガス (指数)100 (指数)8.4 108.4
第二例 1.100 1.100 LPガス LPガス 101 8.8 109.8
従来の方法 第一例 950 980 薪、石炭 松薪 113 18.4 131.4
第二例 1.800 1.050 重油 松薪 142 15.1 157.1
第三例 1.000 1.000 重油 松薪 132 15.1 147.1
(一枚当りの燃料コストは、本発明方法第1例の締焼燃料コスト指数を100として夫々の比較指数を示した。)
図面の簡単な説明
添付図面は本発明方法による全製造工程の窯温度曲線と、ガス燃焼、生ガス供給、冷却の時間プログラムの一例を示したグラフである。
<省略>
別紙三
第3部門(1) 特許法第64条の規定による補正の掲載 昭59.9.22発行
昭和46年特許願第40330号(特公昭58-19623号、<審>昭50-10304号、昭58.4.19発行の特許公報3(1)-15〔133〕号掲載)については特許法第64条の規定による補正があつたので下記のとおり掲載する。
特許第1215503号
Int.CL3C 04 B 33/32 F 27 B 3/00 E 04 D 1/00 識別記号 庁内整理番号 7106-4G 6926-4K 7238-2E
記
1 「発明の名称」の項を、「単独型ガス燃焼窯によるし瓦の製造法」と補正する。
2 「特許請求の範囲」の項を「1 LPガスを燃焼させるバーナーと、該バーナーにおいて発生するガス焔を窯内に吹込むバーナー口とを設けた単独型ガス燃焼窯の、バーナー口を適時に密封できるようにすると共に、該燃焼窯の煙突口の排気量を適時に最小限に絞り又は全く閉鎖する絞り弁を設け、さらに前記LPガスを未燃焼状態で窯内に供給する供給ノズルをバーナー以外に設け、前記単独型ガス燃焼窯の窯内に瓦素地を装てんし、バーナー口及び煙突口を開放してバーナーからLPガス焔を窯内に吹き込み、その酸化焔熱により瓦素地を焼成し、続いてバーナー口及び煙突口を閉じて外気の窯内進入を遮断し、前記のバーナー口以外の供給ノズルから未燃焼のLPガスを窯内に送つて充満させ、1000℃~900℃付近の窯温度と焼成瓦素地の触媒的作用により前記の未燃焼LPガスを熱分解し、その分解によつて単離される炭素を転位した黒鉛を瓦素地表面に着することを特とする単独型ガス燃焼窯による燻し瓦の製造法。」と補正する。
3 第1欄33~34行、第3欄40~41行「LPガス等……ガス焼成窯」を「LPガスを加熱燃料として使用する単独型ガス燃焼窯」と補正する。
4 第2欄25~34行「本発明は……ある。」を「その他、陶磁器芯の表面に炭素膜を付着した抵抗材料を作成するため、陶磁器芯を炭素付着温度に予熱し、その予熱陶磁器芯を、炭素を多く含む被覆ガスを供給する付着室に移送して炭素被覆を生じさせる方法は公知であろが、本発明は瓦生地の焼成と燻しとを、瓦生地の移動を行わせることなく一貫的に施すもので、LPガスの燃焼焔を発生させて吹き込むバーナーと、未燃焼のLPガスを吹き込むバーナー以外の供給ノズルとを単独型ガス燃焼に設け、LPガスの有効な使い分けにより前記の一貫的製造を施すことを特としたものである。」と補正する。
5 第4欄27~28行「なお、……により」を「なお、燃焼ガス焔を発生させて瓦素地の焼成に使用したLPガスの生ガス態供給により」と補正する。
別紙四 第一イ号物件目録
被告名 型式 基数
1 高坂甚吉 K1300 1
2 橫山武一 SMK500 3
3 小柴三郎 MK800 1
4 水谷芳雄 NKC6 NKC8 K8R 1 1 1
5 山口瓦 10
6 丸治製瓦 KBC8R SMK670R SMK500R 1 2 1
8 小林瓦工業 K1200 2
9 兼松製瓦工業 K1250 NHC6 K6RW 2 1 1
10 高木一男 K1250 1
11 唄善瓦工業所 NKC6 NKC8 S8R 1 1 1
12 瓦熊 NKC8 K6R 3 1
13 兵庫瓦産業 S8R 12
14 井上瓦産業 NKC8R 12
15 オチ新瓦産業 NKC8 S8R K6RW 2 2 1
16 杉野敏武 K1250 NKC6 1 1
17 兵庫窯業 10
18 大丸瓦産業 10
19 丹羽靖 3
20 神谷國茂 2
21 北角建設工業 4
22 岡田實 1
23 神國製瓦 2
別紙五 第二イ号物件目録
左記一ないし五の単独型ガス燃焼窯
(各図面のうち、第1図は側面図、第2図は正面図、第3図は配管図である。)
一 窯床(1)と窯殻(2)と窯床(1)の内部を通って煙突(4)に通ずる排煙道(3)とからなり、窯殻(2)のガスバーナー(5)から窯内にLPガス焔を投入して窯床(1)上の瓦素地を焼成した後、ガスバーナー(5)によるガス焔投入口と煙突(4)を閉じ、ガスバーナー(5)に供給したと同種の未燃焼ガスをノズル(8)から窯外から窯内(9)に送り込んで燻し瓦を製造するようにした単独型ガス燃焼窯(A図)。
二 窯床(1)と窯殻(2)と窯床(1)の内部を通って煙突(4)に通ずる排煙道(3)とからなり、窯殻(2)のガスバーナー(5)から窯内(9)にLPガス焔を投入して窯床(1)上の瓦素地を焼成した後、ガスバーナー蓋及び燻化排ガス調整用具(7)を取り付け、ガスバーナー(5)に供給したと同種の未燃焼ガスと炭酸ガスをノズル(8)から窯外から窯内(9)に送り込んで燻し瓦を製造するようにした単独型ガス燃焼窯(B図)。
三 窯床(1)と窯殻(2)と窯床(1)の内部を通って煙突(4)に通ずる排煙道(3)とからなり、窯殻(2)のガスバーナー(5)から窯内(9)にLPガス焔を投入して窯床(1)上の瓦素地を焼成した後、ガスバーナー蓋及び燻化排ガス調整用具(7)を取り付け、ガスバーナー(5)に供給したと同種の未燃焼ガスをノズル(11)から、及び水を気化器(8)に送給し気化した水蒸気を気化器(8)から、窯外から窯内(9)に送り込んで燻し瓦を製造するようにした単独型ガス燃焼窯(C図)。
別紙六 第一イ号方法目録
1 第一イ号物件を使用し、
2 右窯の窯内に瓦素地を装てんし、バーナー口及び煙突口を開放してバーナーからLPガス焔を窯内に吹き込み、その酸化焔熱により瓦素地を焼成し、
3 バーナーを締め、蓋をして密閉し、煙突口に排気量調整用具のうち、大きい鉄製の蓋を取り付け、右の鉄製の蓋の開口部は開けたままにして、
4 ノズルから未燃焼のLPガスと炭酸ガス又は水蒸気を混合した気体を窯内に送給し、
5 一〇〇〇℃ないし九〇〇℃付近にて燻化を開始し、
6 燻化ガスの窯内送給を止めて、前記大きい鉄製の蓋の開口部に更に小さい蓋を取り付け、また、重し又は砂で煙突口を完全に密閉し、
7 瓦を燻化させることを特徴とする燻し瓦の製造法。
別紙七 第二イ号方法目録
一 第二イ号物件一による方法
1 窯床と窯殻と窯床の内部を通って煙突に通ずる排煙道とからなる単独型ガス燃焼窯により、
2 バーナー口は適宜に密封できるようになっており、
3 該燃焼窯の煙突口の排気量を適宜に最小限に絞り又は全く閉鎖する絞り弁を設け、
4 更に、LPガスを未燃焼状態で窯内に供給する供給ノズルをバーナー以外に設け、
5 前記窯内に瓦素地を装てんし、バーナー口及び煙突口を開放してバーナーからLPガス焔を窯内に吹き込み、その酸化焔熱により瓦素地を焼成し、
6 続いてバーナー口及び煙突口を閉じて外気の窯内侵入を遮断し、
7 前記のバーナー口以外の供給ノズルから未燃焼のLPガスを窯内に送って充満させ、
8 一〇〇〇℃ないし九〇〇℃付近の窯温度と焼成瓦素地の触媒的作用により前記の未燃焼LPガスを熱分解し、
9 その分解によって単離される炭素を転移した黒鉛を瓦素地表面に沈着する
10 ことを特徴とする単独型ガス燃焼窯による燻し瓦の製造法。
二 第二イ号物件二及び四による方法
1 窯床と窯殻と窯床の内部を通って煙突に通ずる排煙道とからなる単独型ガス燃焼窯により、
2 バーナー口は蓋により適宜密封できるようになっており、
3 該燃焼窯の煙突口の排気量を適宜に最小限に絞り又は全く閉鎖する絞り弁を設け、
4 更に、LPガスと炭酸ガスを未燃焼状態で窯内に供給する供給ノズルをバーナー以外に設け、
5 前記窯内に瓦素地を装てんし、バーナー口及び煙突口を開放してバーナーからLPガス焔を窯内に吹き込み、その酸化焔熱により瓦素地を焼成し、
6 続いてバーナー口及び煙突口を閉じて外気の窯内侵入を遮断し、
7 前記のバーナー口以外の供給ノズルから未燃焼のLPガス及び炭酸ガスを窯内に送って充満させ、
8 一〇〇〇℃ないし九〇〇℃付近の窯温度と焼成瓦素地の触媒的作用により前記の未燃焼LPガスを熱分解し、
9 その分解によって単離される炭素を転移した黒鉛を瓦素地表面に沈着する
10 ことを特徴とする単独型ガス燃焼窯による燻し瓦の製造法。
三 第二イ号物件三による方法
1 窯床と窯殻と窯床の内部を通って煙突に通ずる排煙道とからなる単独型ガス燃焼窯により、
2 バーナー口は蓋により適宜密封できるようになっており、
3 該燃焼窯の煙突口の排気量を適宜に最小限に絞り又は全く閉鎖する絞り弁を設け、
4 更に、LPガスを未燃焼状態で窯内に供給する供給ノズル及び水を気化する気化器をバーナー以外に設け、
5 前記窯内に瓦素地を装てんし、バーナー口及び煙突口を開放してバーナーからLPガス焔を窯内に吹き込み、その酸化焔熱により瓦素地を焼成し、
6 続いてバーナー口及び煙突口を閉じて外気の窯内侵入を遮断し、
7 前記のバーナー口以外の供給ノズルから未燃焼のLPガスをまた気化器から水蒸気を窯内に送って充満させ、
8 一〇〇〇℃ないし九〇〇℃付近の窯温度と焼成瓦素地の触媒的作用により前記の未燃焼LPガスを熱分解し、
9 その分解によって単離される炭素を転移した黒鉛を瓦素地表面に沈着する
10 ことを特徴とする単独型ガス燃焼窯による燻し瓦の製造法。
別紙八の一
窯床(1)と窯殻(2)と窯床(1)の内部を通って煙突(4)に通ずる排煙道(3)とからなり、窯殻(2)のバーナー(5)から窯内(9)にガス燃焼焔又は灯油燃焼焔を送給して、窯床(1)上の瓦素地を焼成した後、燻化排ガス調整用具(7)を煙道内に取り付け、灯油及び水を気化器(8)に送給し、気化ガスを窯内(9)に放散させて焼成瓦を燻化するようにしたコーナージェット型単独窯。
(図面は窯の概要を示し、第1図は中心部の側面図、第2図は正面図、第3図は配管の要領を示した配管図である。)
なお、窯殻(2)とバーナー(5)とは一体構造となっており、焼成に必要なエアーは、自在に調整可能な強制送風方式となっている。また、燃焼焔を窯殻(2)の四隅から四本のバーナー(5)で高速焔を送給して、熱効率を最大限にする構造になっている。
第1図
<省略>
第2図
<省略>
第3図
<省略>
別紙八の二
窯床(1)と窯殻(2)と窯床(1)の内部を通って煙突(4)に通ずる排煙道(3)とからなり、窯殻(2)のバーナー(5)から窯内(9)にガス燃焼焔を送給して、窯床(1)上の瓦素地を焼成した後、バーナー蓋及び燻化排ガス調整用具(7)を取り付け、バーナー(5)に送給したと同種のガスと炭酸ガスとをノズル(8)から窯内(9)に送給して燻化するようにした単独窯。
(図面は窯の概要を示し、第1図は中心部の側面図、第2図は正面図、第3図は配管の要領を示した配管図である。)
第1図
<省略>
第2図
<省略>
第3図
<省略>
別紙九 燻化温度等一覧表
被告名 燻化温度(℃)
燻化開始時 燻化終了時
1 高坂甚吉 880(上段) 870(下段) 850(上段) 820(下段)
2 橫山武一 890 880 860 845
3 小柴三郎 880 890 840 840
4 水谷芳雄 880 870 860 790
5 山口瓦 870 880 830 810
6 丸治製瓦 890 880 850 820
8 小林瓦工業 890 870 840 820
9 兼松製瓦工業 880 870 850 820
10 高木一男 870 860 840 820
11 唄善瓦工業所 880 870 850 840
12 瓦熊 890 870 850 800
13 兵庫瓦産業 890 880 865 840
14 井上瓦産業 880 870 850 840
15 オチ新瓦産業 880 870 850 840
16 杉野敏武 880 870 850 830
17 兵庫窯業 890 890 860 830
18 大丸瓦産業 885~890 870~875 850~860 800~820
19 丹羽靖 820 810 790 780
20 神谷國茂
21 北角建設工業 800 790 760 740
22 岡田實 830 810~820 800~810 790
23 神國製瓦 835 830 805 800
別紙一〇 補償金・損害金一覧表
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注・()内は、原告主張額であるが、記載場所の誤り及びこれに基づく違算であると認めるものである。
特許公報
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特許法第64条の規定による補正の掲載
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